先日ありがたいことにTP-Link様の方からWi-Fi中継機を提供していただきました。RE705Xという10,000円を超える高性能な中継機です。こんないいものを提供していただいて大変恐縮なのですが、この中継機を見てふと思ったことがありました。
「Wi-Fi中継機にこんなに高価なものって必要?」ということです。
ということで今回は提供していただいた中継機とは別に3,000円・5,000円くらいの中継機を購入して、実際に使うにはいくらぐらいの中継機があればいいのかを検証してみました。ちょっと意外な結果になったので、ぜひ最後までご覧ください。
外観を見ていこう!

2本の立派なアンテナがちょっとガンダムみたい
せっかく提供いただいたので、まずはRE705Xについて軽く紹介していきたいと思います。
まずは外観から。RE705Xには2本の外部アンテナがついています。下位モデルに比べると結構大きめで立派なアンテナです。


4つのLEDランプ
正面には4つのLEDランプ。シンプルながら電源と電波の状況がわかるようになっています。

LANポートも搭載
1つだけですがLANポートも搭載しているのでブリッジモードに切り替えての有線接続も可能です。LANポートと逆サイドの側面にはWPSボタンとリセットボタンがついています。
基本性能

製品名 | RE705X |
サイズ | 74.0×46×124.8mm |
重量 | 記載なし |
Wi-Fi規格 | Wi-Fi6 |
ストリーム数 | 外部アンテナ2本 |
Wi-Fi最大通信速度 | 5Ghz:2402Mbps2.4Ghz:574Mbps |
接続台数 | 記載なし |
有線ポート | LANポート:最大1Gbps×1 |
セキュリティ | WPA3対応 |
その他 | OneMesh対応 |
Wi-Fi6対応
中継機と言うと性能が低いものが多いイメージがありますが、このRE705Xは最新のWi-Fi規格である「Wi-Fi6」に対応しており高速通信が可能です。
Wi-Fi6は2019年ごろから普及しはじめた最新のWi-Fi規格です。

Wi-Fi6は飛び抜けて通信速度が速い
まず、Wi-Fi6は以前のWi-Fi5に比べて1.4倍も最大通信速度が速くなっています。
他にもMU-MIMOがアップリンクに対応したり、OFDMAという技術が取り入れられたことにより、複数台で接続しても通信が安定して遅延や速度低下が起きにくくなりました。
そういった最新の規格がこのRE705Xでは採用されています。
OneMesh対応

OneMeshにも対応
RE705XははOneMeshというTP-Link独自のメッシュWi-Fi機能にも対応しています。メッシュWi-Fiとはメインルーターの他にメッシュ中継機を利用して電波の範囲を拡大する仕組みのことです。
従来の中継機に比べてのメリットは下記のとおり。
- ルーターと中継機の切り替えを自動でやってくれるためシームレスに利用ができる
- メインルーターへの負荷が中継機と分散されるため、複数台でつないでも速度が落ちにくい


OneMesh対応のArcher AX72とRE705X
メインで使っているルーターがOneMeshに対応していれば、このRE705Xと接続することでメッシュ機能を利用することが可能になります。

通信速度を調査しました

3000円,5000円,10000円の中継機で比較検証
ということでいよいよ速度計測をしていきたいと思います。
今回用意した中継機は3つ。
- Wi-Fi6対応、最高速度2402MbpsのRE705X
- Wi-Fi5、最高速度1300MbpsのRE450
- Wi-Fi5、最高速度867MbpsのRE305
価格はそれぞれ
- RE705Xが10,000円ぐらい
- RE450が5,000円ぐらい
- RE305が3,000円ぐらい
となっています。
※価格は場所や時期によって変動するのでだいたいこのぐらいと思ってもらえると助かります。
この3つの中継機の速度を比較すれば、Wi-Fi中継機を買うときはいくらぐらいのものを買えばいいのかが見えてくるんじゃないでしょうか?それでは早速見ていきましょう。
まずはWX3600HPで計測

NECのWX3600HP
まずはメインルーターで基準となる速度を計測します。使用ルーターはNECのWX3600HPです。

OneMeshについてはまた別で検証する予定。
こちらもWi-Fi6対応、最大速度2402Mbpsの高性能ルーターです。まずは回線の引き込み元である2階で速度計測をしたあとに、中継機も利用しながら1階で計測してきます。

計測端末はGooglePixcel6、計測サイトはFast.comを利用
1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | |
2.4GHz | 72Mbps | 73Mbps | 78Mbps | 74.3Mbps |
5GHz | 400Mbps | 410Mbps | 390Mbps | 400Mbps |
WX3600HPを使って2階で計測した結果は上の通り。5Ghz帯での平均速度は400Mbps、2.4GHz帯での平均速度は74.3Mbpsでした。この速度を基準として1階に移動して速度計測をしていきたいと思います。
1階(玄関)で計測

場所を移して、1階の玄関で通信速度を計測してみました。
WX3600HP

多少落ちたがそこまでは変わらず
1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | |
2.4GHz | 78Mbps | 78Mbps | 85Mbps | 80.3Mbps |
5GHz | 380Mbps | 360Mbps | 350Mbps | 363Mbps |
まずはメインルーターのWX3600HPから。5GHz帯に関しては若干通信速度が落ちたものの、平均速度は363Mbps。この場所だと全然中継機とかはいらなそうですね。2.4GHz帯に至っては平均80.3Mbpsとルーターの近くで測ったときよりも速度が上がりました。

RE305

1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | |
2.4GHz | 52Mbps | 65Mbps | 65Mbps | 60.6Mbps |
5GHz | 210Mbps | 210Mbps | 220Mbps | 213.3Mbps |
いよいよ中継機での計測です。まずは3,000円のRE305で計測しましたが、5GHzの平均速度は213.3Mbps。なんと中継機を使うことで速度が落ちるという結果になってしまいました。


RE305は比較的コンパクト
RE450

3,000円の中継機よりも遅いという結果に
1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | |
2.4GHz | 69Mbps | 69Mbps | 70Mbps | 69.3Mbps |
5GHz | 230Mbps | 180Mbps | 220Mbps | 210Mbps |
続いて5,000円のRE450で計測してみましょう。5Ghz帯の平均速度が210Mbps…
なんとメインルーターのWX3600HPどころか3,000円のRE305よりも遅いという結果に。

コンセントを占有してしまうかも
RE705X

5GHzに関しては他2機種とそこまで変わらず
1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | |
2.4GHz | 100Mbps | 110Mbps | 110Mbps | 106.6Mbps |
5GHz | 210Mbps | 230Mbps | 250Mbps | 230Mbps |
そしていよいよ10,000円超えの中継機RE705Xでの計測。
結果は5GHz帯の平均速度が230Mbpsと、他2機種と比べると速いものの2倍、3倍といった金額を出す価値があるかというと微妙な結果に。
ただ、2.4GHz帯に関しては平均106.6Mbpsとメインルーターよりも速い結果が出ました。なんとか面目躍如といったところですが、メインで使いたいのは5GHzなのでそちらで結果を出してほしかったところです。

RE705Xはコンセントプラグが下側についているので、上のコンセントに挿せば下側は利用できるかも
外で計測

トヨ宅は1階は玄関しかないメゾネット?タイプ
先程も話したとおり、なまじ性能のいいWi-Fiルーターを使ったせいで1階の玄関までしっかり電波が届いてしまい「どの中継機がいいのか?」どころか「中継機はいらない」という結果になってしまいました。これだと検証にならないので、メインルーターともう少し距離の離れた場所で再計測を試みることに。とはいえ、自分が住んでいる場所が1階は玄関しかないタイプの住居なのでこれ以上場所を離すことができません。

距離をとるために外で計測
ということでちょっと力技ですが、玄関を開けて数メートルのところで計測することにしました。室内ではなく屋外になってしまうので、ちょっと環境が変わってしまいますがこれが今できる最善なのでお許しください。

こんな姿を誰にも見られなくてよかったよ笑
WX3600HP

メインルーターではつながらず
1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | |
2.4GHz | -Mbps | -Mbps | -Mbps | -Mbps |
5GHz | -Mbps | -Mbps | -Mbps | -Mbps |
メインルーターを使って計測しようとしたところ、5GHz帯、2.4Ghz帯ともに電波が届かず接続できないという自体に。
電波がつながらなくて喜ぶのもおかしな話ですが今回は特別。ようやく中継機活躍の場ができそうです。
RE305

ずっと計測してたら暗くなってしまいました笑
1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | |
2.4GHz | 23Mbps | 22Mbps | 20Mbps | 21.6Mbps |
5GHz | 37Mbps | 50Mbps | 52Mbps | 46.3Mbps |
RE305で計測したところ、メインルーターではつながらなかった屋外でも接続することができました。
5Ghz帯の平均が46.3Mbps、2.4GHz帯の平均速度が21.6とそこまで速いというわけではありませんがWebサイトや動画を見る分には充分な速度が出ています。
RE450

ずっと計測してたら暗くなる
1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | |
2.4GHz | 17Mbps | 17Mbps | 15Mbps | 16.3Mbps |
5GHz | 41Mbps | 39Mbps | 33Mbps | 37.6Mbps |
続いてはRE450での計測です。
これも接続することはできたのですが、5GHz帯の平均速度が37.6Mbps、2.4GHz帯の平均速度が16.3Mbps。
どちらもRE305よりも遅いという結果になってしまいました。

RE705X

1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | |
2.4GHz | 24Mbps | 24Mbps | 24Mbps | 24Mbps |
5GHz | 95Mbps | 94Mbps | 110Mbps | 99.6Mbps |
そして最後はRE705Xです。
5GHz帯の平均は99.6Mbpsと他2機種に比べて圧倒的に速い結果が出ました。一方、2.4GHz帯に関しては他よりも速いは速いものの玄関で測ったときほどの速度差は出ませんでした。

速度比較まとめ

最後に簡単に今までの速度計測の結果をまとめてみましょう。
それぞれの平均値をまとめてあります。
1階計測まとめ

WX3600HP | RE705X | RE450 | RE305 | |
2.4GHz | 80.3Mbps | 106.6Mbps | 69.3Mbps | 60.6Mbps |
5GHz | 363Mbps | 230Mbps | 210Mbps | 213.3Mbps |
1階で計測したときの結果は上のとおり。
2.4GHz帯こそ、10,000円の中継機、RE705Xを使うことで速くなったものの5GHz帯についてはダントツでWX3600HPが速いです。2.4GHz帯を優先して使いたいということはそんなにないので、ここで使う場合は中継機は不要ですね。

外計測まとめ

WX3600HP | RE705X | RE450 | RE305 | |
2.4GHz | -Mbps | 24Mbps | 16.3Mbps | 21.6Mbps |
5GHz | -Mbps | 99.6Mbps | 37.6Mbps | 46.3Mbps |
外での計測に関しては2.4GHz帯、5GHz帯共にRE705Xが最速という結果になりました。
特に5GHz帯については他2機種よりも2倍以上速くダントツですね。
ここまでの差があるのであれば、10,000円を出す価値もありそうです。
まとめ

ということで3,000円の中継機、5,000円の中継機、10,000円の中継機で速度比較をしてみました。
今回の結果を見てみると
アパートやマンションなど、そこまで広くない場所に住んでいる人は中継機を買うというよりはメインルーター自体の性能を上げたほうが速度改善には繋がりそうです。一軒家にお住まいの方については、最低限使えればということであれば3,000円の中継機でも充分そうですが、確実性をとるなら10,000円の中継機もありですね。今回の計測場所ではRE305の速度が40Mbps前後だったので、速度の下振れを考えるとRE705Xは全然選択肢に入ってきます。

一番意外だったのは3,000円の中継機が5,000円の中継機よりも良い結果がでたということですね。大元の回線やメインルーターの性能、住居の環境などによっても結果は変わってくるので、一概には言えませんが5,000円の中継機を買うなら3,000円の中継機でも十分なのかもしれません。今回の結果を参考に自分の予算や目的にあった中継機を探してみてください。