2023年1月26日、ついに楽天のホームルーターサービスがスタートしました。
その名も「Rakuten Turbo 5G」
あの楽天がホームルーターを出すという話を前に聞いたときは
「一体どんなものか」
と気になっていたのですが、実際に蓋を開けてみると雲行きが…
ドコモやWiMAXなどの他社ホームルーターと比べるとちょっと「うーん」という感じかもしれません。
それでは実際にどんな製品なのか見ていきましょう。
トヨ( 堀行 秀吉 ) 執筆・監修者
家電量販歴18年以上、学生から高齢者まで8万人を超える方々とお話をしてきた経験をもとに発信しています。Wi-Fiランド・YouTube(トヨサポ)を運営中。
専門分野はパソコン選び、周辺機器(WiFiルーター、他)、ネット回線(光回線・ホームルーター・ポケット型Wi-Fi)全般、スマホや格安SIMなど。
パンフレットに書かれている情報ではなく、実際に多くのパソコンやネット回線を利用し事実に基づく発信を心がけております。
大手公式サイトの監修なども行っております。詳しくは運営者情報より
動画と連動しているので、
一緒に記事をご覧いただくと音声とテキストで理解がしやすくなります。
Rakuten Turbo 5Gの性能
まずは外観と性能から見ていきましょう。
形はちょっと四角っぽい円柱形、色は白となっています。
シンプルな見た目で家のインテリアの邪魔にもそこまではならなそうなのでいいんじゃないでしょうか。
側面にランプなどがついていないスマートな感じは、ほんのちょっとだけTP-LinkのDecoシリーズに形が似てますかね?
工事不要でコンセントにさすだけで使える
Rakuten Turbo 5Gは工事不要で、契約したらあとはコンセントにさすだけで利用可能です。
これはRakuten Turbo 5Gというよりはホームルーター全般の特徴ですね。
ホームルーターは理由があって工事が出来なかったり、工事をするのが面倒・嫌だと言う人が光回線代わりに自宅の回線として選択することが多いです。
あとはQRコードやWPSボタンがついているので、こういった分野に疎い人でも簡単にWi-Fi設定することができます。
5Gの高速通信に対応
Rakuten Turbo 5Gはその名の通り5G通信に対応しています。
さらに最新のWi-Fi規格である「Wi-Fi6」に対応しているので速度が速いだけでなく複数端末の同時接続にも強いです。
他社ホームルーターとの比較
Rakuten Turbo 5G | ドコモhome5G HR01 | WiMAX L12 | |
最大通信速度(5G) | 受信時:2.1Gbps 送信時:218Mbps | 受信時:4.2Gbps 送信時:218Mbps | 受信時:2.7Gbps 送信時:183Mbps |
最大通信速度(4G/LTE) | LTE受信時:391Mbps LTE送信時:76Mbps | 4G受信時:1.7Gbps 4G送信時:131.3Mbps | 記載なし |
最大接続台数 | 128台 | 65台 | 40台(2.4GHz:20台/5GHz:20台) |
有線LANポート | 2ポート(1Gbps対応) | 1ポート(1Gbps対応) | 2ポート(1Gbps対応) |
無線LAN規格 | Wi-Fi6対応(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax) | Wi-Fi6対応(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax) | Wi-Fi6対応(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax) |
セキュリティ | WPA3対応 | WPA3対応 | WPA3対応 |
かんたん設定 | WPS、QRコード接続 | WPS、QRコード接続 | WPS、QRコード接続 |
このように単体で見た場合はルーター自体はそんなに悪い性能ではないのですが、他社ホームルーターと比べてしまうと特筆する点がありません。
上の表を見て見てみてください。
これはドコモhome5GとWiMAX L12と比較したものです。
まずは通信速度から見てみましょう。
楽天も5Gに対応してると言ったものの、最大通信速度で見るとWiMAXやhome5Gに劣っています。
さらに先程紹介したWi-Fi6やQRコードとWPSボタンでのかんたん設定についても、home5GとWiMAXも対応しているということで強みにはなりません。
LANポートに関しては現行のhome5Gは1つのみですが、2023年2月以降に発売予定の後継機種「HR02」はしっかり2つのLANポートを搭載しています。
Rakuten Turbo 5Gの強みと言うと最大接続台数が128台ということぐらいです。
これに関しても、日常生活で100台以上に同時接続するかと言われたらどうでしょうか?
家族でめいいっぱい使ったとしてもせいぜい同時に接続しても10~20台というところでしょう。
というわけで、これも実用性で言うとほぼ活きることのない強みになってしまいます。
通信の性能はドコモ・WiMAXに軍配
100歩譲って、ルーター本体の性能が同程度と考えたとしても楽天には致命的な欠点があります。
それは回線の品質がドコモやWiMAXに劣るということです。
以前WiMAXと楽天のモバイルルーターを使って比較したことがあるのですが、楽天はWiMAXに比べて繋がりにくいところが多いなと言う印象でした。
楽天もルーターの性能自体はホームルーターになってかなり向上していますが、大元の回線の品質自体は変わりません。
home5gはドコモのプラチナバンドが使えますし、WiMAXもau 4GLTE、au5G、WiMAX2+といった3つのネットワークを使うことができます。
性能面ではRakuten Turboを選ぶ理由なし
ルーターの性能も他社と大差がない、回線の品質が低いとなるとRakuten Turbo 5Gを選ぶ理由はありません。
ですがこう思っている方もいるんじゃないでしょうか?
「楽天はもともと品質で勝負している会社じゃないし」
「多少性能で劣っていても安く使えるならOK」
そうです、楽天は一時期「0円」で使えるプランを出していたくらい安さで勝負してきた会社なんです。
Rakuten Turbo 5Gの料金
というわけでRakuten Turboの料金プランを見ていきましょう。
上の画像を見て察した人もいると思いますが残念なお知らせです。
月額料金が高い
はい、Rakuten Turboの料金プランは高いです。
高いと言ってしまうとちょっと誤解があるかもしれませんが、少なくとも従来のプランに比べると高めとなっております。
基本的な月額はなんと4,840円。
3年間1,155円の割引が入るので実質は3,685円ですが、結局は端末の分割代金が加算されるので5,000円近い月額になります。
※端末を一括で購入した場合を除く
段階制ではないので毎月フルで料金がかかる
楽天モバイルなどのプランであるRakuten UN-LIMIT VIIは段階性の料金プランとなっていたので、あまり使わなかった月は通信代金を節約することができました。
しかしRakuten Turboは完全定額となっているため、全く使わなかった月でもフルで5,000円近い請求が飛んできます。
※端末を分割で購入した場合
端末料金も高め
ちなみに端末料金に関しても41,580円と結構高めです。
他社と比較すると、この記事執筆時点では
- ドコモ:home5g HR01 39,600円
- WiMAX:L12 5,940円
となっていて、ドコモやWiMAXに比べても高くなっています。
home5GやWiMAXは家電量販店などで安く端末を購入できる
WiMAXに関してはともかく、home5Gに関しては39,600円なので誤差の範囲と言えるかもしれません。
ただ、WiMAXやhome5Gについては安く端末を手に入れる方法があります。
この2社については店舗でも契約が可能となっていて、キャンペーンによってはなんと端末が0円になることもあります。
一方、Rakuten Turboは店舗での契約を行っていません。
もしかしたら楽天も今後何かしらのキャンペーンを行ってくれるかもしれませんが、現状ではRakuten Turboを選ぶとWiMAXとドコモhome5gに比べて端末代金41,580円分まるまる損をしてしまう可能性もあるわけです。
他社ホームルーターと比較
Rakuten Turbo | ドコモhome5G | WiMAX(L12) | |
月額 | 4,840円 | 4,950円 | 4,950円 |
割引 | 1,155円(3年間) | 1,100円(3年間) | 682円(25ヶ月間) |
契約事務手数料 | 0円※1台目のみ | 3,300円 | 3,300円 |
契約期間 | なし | なし | なし |
端末代金 | 41,580円 | 39,600円 | 5,940円 |
ここで一旦、料金について他社と比較しながら整理してみましょう。
さっき料金が高いと言うと誤解があるといいましたが、他社と比べて決して月額が高いわけではありません。
むしろちょっと安いです。
月額で言うとWiMAXとhome5Gよりも110円、そこからの期間限定の割引についてもドコモよりも55円安いです。
事務手数料についてもRakuten Turboだけ0円なので、ここは純粋にお得と言えます。
ですが、このちょっとのお得が今話した端末代金で一気に台無しになります。
年間総額で見ても安いとは言えない
Rakuten Turbo | ドコモhome5G | WiMAX(L12) | |
2年 | 130,020円 | 135,300円 | 111,672円 |
3年 | 174,240円 | 181,500円 | 170,390円 |
色々細かく料金について話しましたが、結局合計いくらかかるのか?
これが大事です。
Rakuten Turboとhome5Gは3年間月額が値引かれますが、WiMAXの月額の値引きが2年で終了するので2年使った場合と3年使った場合の総額を比較してみましょう。
2年使った場合でも、3年使った場合でもWiMAXが一番安くなっています。
2年目はともかく、3年目に関してはWiMAXは月額の値引きが終了しているにも関わらず一番安いという結果になりました。
ちなみにこれは公式サイトの端末価格で比較しているので、さっき話した家電量販店などでの端末値引きを利用した場合は楽天が一番高くなってしまいます。
現状のメリットとデメリット
性能と金額を見たところでRakuten Turboのメリット・デメリットをまとめていきたいと思います。
メリット
- 月額だけを見るなら一応他社よりは安い
- 事務手数料が1台目無料
ただし、これらのメリットも端末料金を含めた総額で考えると微妙なところ。
デメリット
- ルーター本体の性能が他社と大差ない、むしろ通信速度などが微妙に劣る
- 回線の品質が他社に劣る
- 従来のような段階制でないためランニングコストがかかる
- 端末の料金が他社よりも高い
ネガティブな内容が並んでしまいましたが、スペックや料金プランを見てみると結構厳しめです。
楽天の強みが死んでいておすすめできない
楽天は今までは
「大手キャリアに比べると性能は劣るけど、使えるところでは普通に使えて値段が安い」
というのが強みだったと思います。
しかし今回出てきたRakuten Turboについては
「大手キャリアに比べて性能が劣る上に、金額も一番高い(他社端末のキャンペーンによる)」
という製品になってしまっているのではないかな、というのが正直な感想です。
現段階では自分でRakuten Turboを試したわけではないので、これはカタログスペックでの評価にはなります。
実際に使ったら快適なのかもしれないですし何かうまい使い方があるのかもしれません。
ただし、現状ではホームルーターを利用するのであればドコモhome5GやWiMAXを選ぶことをおすすめします。