最近、日本ではテレワークに続いて「ワーケーション」が推進されています。
ワーケーションとは、休暇中に旅行などを楽しみながら、合間に滞在先で仕事を行うという新しい休み方・働き方です。
ワーケーションでは一般的に、ノートパソコンをインターネット回線に接続して仕事をするため、滞在先で快適に仕事をするには「インターネット回線選び」も重要です。
ここでは、ワーケーション導入企業の事例や、ワーケーションで必要な通信環境、おすすめのインターネット回線などを解説します。
ワーケーションとは
出典:総務省
ワーケーションとは、リゾート地や帰省先などの滞在先で、休暇を兼ねて仕事をすることを指します。
ワーケーションという言葉は、work(仕事)とvacation(休暇)を組み合わせた造語です。
ワーケーションと似ている働き方としてはテレワークがあります。
テレワークの目的は、自宅やサテライトオフィスなどいつものオフィス以外の場所で、勤務時間内に仕事をするというものです。
一方、ワーケーションの目的はあくまで休暇で、休暇中の滞在先で余暇を楽しみつつ仕事を行います。
日本では、他国と比べても有給休暇の消化率が低く、18歳~49歳の6割以上が「休日が不足している」と感じているという調査結果があるほどです。
ワーケーションを利用できるようになれば、休暇中に急な仕事が入っても滞在先で対応できるため、これまでよりも会社で長期休暇を取得しやすくなる可能性があります。
ワーケーションを導入している企業の事例
「ワーケーションではどの程度の仕事を行うか」といった定義は今のところなく、ワーケーション中の仕事量は企業によって異なります。
参考までに、これまでにワーケーションを導入した企業の事例を紹介します。
日本航空(JAL)
日本航空(JAL)は、2017年の夏より、休暇の取得促進のため、約4000人を対象にワーケーションを導入しました。7~8月の2カ月間のトライアルで34人が利用しています。
日本航空の場合、「3日間の休暇のうち、2日目の午後だけ勤務」はワーケーションと認められますが、「3日間の休暇のうち、3日間すべて午後だけ勤務」となると勤務割合が多いためワーケーションと認められません。
日本航空ではワーケーション導入により、有給休暇の取得率向上、残業時間削減などの効果があったとしています。
JTB
JTBでは2019年から「ワーケーション・ハワイ制度」を導入しました。休暇中、JTB Hawaii Travel,LLCの専用スペースでテレワークを行うというものです。
JTBの滞在先は海外と豪華で、従業員からもリフレッシュできると好評のようです。
三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行では2019年より、軽井沢の保養所の一室をワーケーション専用ITオフィスにしてワーケーションを導入しました。
三菱UFJ銀行のワーケーションは、旅行中に1日だけITオフィスで仕事をするという想定です。
ワーケーションに必要な通信環境について
ワーケーションでは、滞在先からVPN(バーチャルプライベートネットワーク)で社内LANに接続し、仕事をするケースが多いでしょう。
また、滞在先ではオンライン会議でコミュニケーションをとることも多いかと思います。
ワーケーションの通信環境としては、
「通信速度が速い」
「回線が安定している」
「セキュリティが高い」
の3点が重要になってきます。
▼ワーケーションに必要な通信環境
- 通信速度が速い
- 回線が安定している
- セキュリティが高い
通信速度が速い
ワーケーションで利用するインターネット回線には、検索からオンライン会議までの利用に耐える通信速度が必要です。
オンライン会議でよく利用されるZoomの場合、10Mbpsの速度がでれば使用可能です。より快適に使いたいのであれば30Mbpsを目安にするといいでしょう。
回線が安定している
ワーケーションでは回線の安定性も重要です。
とくにワーケーションで複数の通信機器を使う場合、同時接続をしても快適に利用できる回線の安定性が求められます。
セキュリティが高い
ワーケーションで利用するインターネット回線はセキュリティ面で安全なものを選びましょう。
フリーWi-Fiは誰でも利用できて便利ですが、その分、不正アクセスの可能性もあるためワーケーションでは利用しないのが無難です。
また、滞在先のホテルや旅館のWi-Fiで、IDやパスワードが解放されている場合は注意が必要です。誰でも接続できることから、不正アクセスの危険性が残ります。
ワーケーションでは重要な情報の取扱いを避けるケースが多いかもしれませんが、念のためIDやパスワードが解放されていないインターネット回線に接続すると安心です。
ワーケーションではポケットWi-Fiが便利
ワーケーションで利用する通信環境は会社から指定されていたり、会社から貸与されていたりする場合も多いかもしれません。
もし自分で通信環境を用意する必要がある場合は、持ち運びができ、エリア内ならどこでもデータ通信ができる「ポケットWi-Fi」を利用するのが便利です。
ポケットWi-FiにはWiMAXやクラウドWi-Fi、ドコモ・au・ソフトバンクのLTEなどがあります。
クラウドWi-Fiは通信速度が下り最大150Mbpsと遅く、ドコモ・au・ソフトバンクのLTEはデータ容量が月30GB~60GBと少ないので、ワーケーションにはあまり向きません。
ワーケーションで使うポケットWi-Fiとしては、データ容量が無制限で通信速度も安定しているWiMAXがもっともおすすめです。
WiMAXの特徴
出典:UQ WiMAX公式
WiMAXは使えるエリアが広く、月間のデータ容量が無制限で、通信速度が速いといった特徴があります。
使えるエリアが広い
WiMAXは幅広いエリアで利用可能です。
温泉地などでは「光回線のサービス提供エリア外」というケースもありますが、「対応エリアの広いWiMAXなら利用可能」という場合もあります。
WiMAXはルーターを持ち運んで使えるので、旅館やホテルから離れていても、会社からの急な連絡にも対応可能です。
月間のデータ容量が無制限
WiMAXは月間のデータ容量が無制限です。
たとえばクラウドWi-Fiの場合だと、月100GBなどのデータ容量を超えれば月末まで128kbpsや384kbpsなどの速度制限があります。
他方、WiMAXの場合はそういった月ごとの速度制限がないため、安定してデータ通信を利用可能です。
速度制限中の通信速度もほかのポケットWi-Fiより緩めです。
通信速度が速い
WiMAXの最大通信速度は下り400Mbps~1Gbpsです。
下り150MbpsのクラウドWi-Fiなと比較すると、WiMAXの通信速度は速い傾向にあります。
滞在先でWi-Fiが安定しない場合に備えて、WiMAXを用意しておくのもおすすめです。
セキュリティ面も安心
滞在先でもWiMAXを利用すれば、滞在先のWi-FiやフリーWi-Fiを利用するよりセキュリティ面の安全性が高まります。
ルーターの設定でSSIDとパスワードを初期状態から別のものに変更しておけば、さらに安心です。
最新ルーターを選べばさらに快適
ルーターを選ぶ際は、最新端末のW06やWX06を選ぶと連続通信時間が長く、外出先での利用も快適です。
W06やWX06は「ビームフォーミング」という、パソコンやスマホなどの通信機器に集中して電波をとばす機能もついていているため、通信速度や回線の安定性にも期待できます。
月額料金が安い
WiMAXは月額料金が3000円~4000円程度と安いのも魅力です。
ドコモ・au・ソフトバンクのLTEは、データ容量が月30GB~60GBで月額7000円~7500円程度と高めですが、WiMAXは月間のデータ容量が無制限で月額料金も安く、お得です。
今後はワーケーションの導入が広がる可能性も
環境省では2020年6月、国立公園や温泉地などでワーケーションを実現できるよう、宿泊施設やキャンプ場のインターネット環境の整備を補助する6億円の予算案を提出しました。
また観光庁は、ワーケーションに興味をもつ企業と、受け入れたい自治体をマッチングする実証事業を2020年度中に開始予定です。
今後はワーケーションの滞在先として便利な場所が徐々に増えていくかもしれません。
「ワーケーションの導入に踏み切る企業がどの程度増えるか」については、「経営者のワーケーションへの取り組みの実態」に関する調査が参考になりそうです。
この調査では、「テレワークを導入済みの企業経営者323名のうち、ワーケーションに興味を持っている経営者は半数以上」との結果が出ています。
ワーケーションを導入できる業種はある程度限られますが、自分の会社ですでにテレワークが導入されているなら、今後ワーケーションが導入される可能性も高いかもしれませんね。
まとめ
ワーケーションで必要な通信環境としては、以下の3点が重要になります。
▼ワーケーションに必要な通信環境
- 通信速度が速い
- 回線が安定している
- セキュリティが高い
もし自分でインターネット回線を用意する必要がある場合は、持ち運びができ、エリア内ならどこでもデータ通信ができる「ポケットWi-Fi」の利用が便利です。
ポケットWi-FiにはWiMAXやクラウドWi-Fi、ドコモ・au・ソフトバンクのLTEなどがありますが、このなかでワーケーションにもっともおすすめなのはWiMAXです。
WiMAXは月間のデータ容量が無制限で、通信速度も安定して速いため、ワーケーションでも利用しやすいでしょう。
参考:環境省
参考:日本経済新聞
参考: PR TIMES
参考: We Love Expedia
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