どうも、トヨです。
2022年9月、ついにWi-Fi6E対応のWi-Fiルーターが発売されました。
ということで今回はWi–Fi6Eの解説を交えつつ、最近発売されたWi-Fi6E対応ルーターが実際どうなのかというのをお話していきたいと思います。
Wi-Fi6Eという存在自体は以前から聞いていたものの、実際に製品が出るのは個人的にはもう少し先になるんじゃないかな?と思っていたんですが意外と早かったですね。
それではさっそく今回発売されたルーターを軽く見ていきましょう。
発売されたWi-Fi6E対応ルーターは3種類
Wi-Fi6E対応のルーター自体は、海外ですでにASUSなどから発売されていたようなので「世界初!」というわけではないのですが、国産メーカーとしては今回が初のWi-Fi6E対応ルーターということになります。
今回、Wi−Fi6E対応のルーターを発売したメーカーはBUFFALOとNECの2社です。
BUFFALOからは1種類
BUFFALOからは1種類「WNR-5400XE6」というものが発売されました。
種類は2022年9月現在これだけですが、「WNR-5400XE6/2S」という2個セットのものもあるようです。
NECからは2種類発売
一方、NECからは2種類のWi-Fi6E対応ルーターが発売されています。
「Aterm WX7800T8」と「Aterm WX11000T12」で、WX11000T12の方が上位モデルのようですね。
PS5みを感じる
性能とは全然関係ないんですが、WX11000T12に関しては筐体デザインにもこだわっているそうです。
「空間を優雅に飛び交うWi-Fiをイメージして緩やかなカーブを配したフォルム、エレガントな白のサイドパネルと相まってお部屋の雰囲気を邪魔せず設置することができます」
と公式サイトに書いてあるとおり、確かにスタイリッシュな感じはありますね。
ただ、このデザイン…若干のPS5みを感じるのは気のせいでしょうか?笑
まぁ、白と黒の配色でルーターを作るとなったら、誰が作ってもこんな感じになる気がしなくもないのでよくあるデザインといえばよくあるデザインかもしれませんね。
Wi-Fi6Eとは?
ちょっと話がそれてしまいしたが、本題である今回発売されたルーターがどうなのかという話をする前に「そもそもWi-Fi6Eって何?」という方もいると思うので、まずはそちらから解説していきましょう。
Wi-Fi6とは?
では最初におさらいとしてWi-Fi6とは何かを簡単に復習してみましょう。
Wi-Fi6はWi-Fi規格の6世代目です。
2019年に登場した新しい規格で、最大通信速度も9.6Gbpsと5世代目のWi-Fi5に比べて1.4倍も速くなっています。
他にもOFDMAという技術に対応して複数台のデバイスに接続しても速度が安定するようになったり、省エネになったりと以前に比べてかなり進化したWi-Fi規格でした。
Wi-Fi6Eは使える周波数が増えた
それではWI-Fi6EはWi-Fi6に比べてどうなのかというと、基本的な部分はほとんど同じです。
表を見ていただければ分かる通り、最大通信速度は同じですし何か革新的な新技術が増えたということもありません。
では何が変わったのかというと、大きな変更点は1つだけで利用可能な周波数が増えました。
車道と車線が増えたイメージ
利用できる周波数が増えると具体的にどうなるかというと、ここらへんの話はよく車道に例えられます。
今までは2.4GHzと5GHzという2つの車道しかなかったのですが、6GHzという車道が増えたことにより使える車道が3つになりました。
これにより、混雑が起きにくくなったので快適に運転できる、つまりは通信速度が安定して速くなるということです。
さらに6GHzは利用できるチャンネル、つまりは周波数という車道内の車線も2.4GHzや5GHzに比べて多いので、より道が混雑しにくくなっています。
ちなみに2.4GHzはPCやスマホ以外にも電子レンジなどの家電やBluetoothイヤホンなどの多くの電化製品でも使われている周波数帯なため、回線が混雑しやすいというデメリットがあります。
一方、5GHzは気象レーダーや航空レーダーなどでは利用されているものの、日常的に使われるような家電などでは使われていないので2.4GHzに比べて電波干渉が少なく速度が安定しやすいです。
6GHzに至ってはそういったレーダー波にも使われていないですし、使えるようになったばかりでまだほとんどの人が利用していないので、より電波干渉や混雑が起きにくいということです。
Wi-Fi6Eを利用すると速度が速くなる
Wi-Fi6Eを利用するメリットをまとめると
6GHzという周波数帯が追加で利用できるようになって「通信が安定しやすくなり、より速い通信速度を見込めるようになる」ということです。
制限速度100kmの道を使うというのは同じだけど、邪魔する車がいなくなったので今までよりかっとばせるというイメージかな。
ただし6GHzにもデメリットはあります。
それは上の表の通り、高い周波数帯は障害物に弱いということです。
6GHzは障害物に弱く遠くへ届きにくい
周波数は高ければ高いほど、パワー自体は上がりますが障害物に弱くなるという性質があります。
壁や障害物にぶつかるたびにパワーが落ちていくので、周波数が高くなるほど電波は遠くに飛びにくくなるということです。
この「障害物に弱い」というのが5GHzの弱点でしたが、それよりも周波数が高い6GHzはより障害物に弱いということになりますね。
なので、ルーターと同じ部屋で使った場合は2.4GHzに比べて圧倒的に速いのに、2階に移動したら2.4GHzよりも遅くなったなんてことは全然ありそうです。
Wi-Fi6Eはあくまで周波数が拡張されたもので基本性能は一緒
Wi-Fi6EのEは「Extend」、つまりは「拡張」という意味で、その名の通りWi-Fi6に6GHzという周波数帯が拡張されたものになります。
それ以外は先程お話したとおり、Wi-Fi6との性能差は基本ありません。
それを踏まえて、今回発売したルーターがどうなのかというのを見ていきましょう。
Wi-Fi6E対応ルーターの購入は待った方がいいかも
まず、結論から言ってしまうと今回のWi-Fi6E対応ルーターに関しては、無理して購入する必要は全くないのかなと思います。
主な理由は2つあるので、それぞれお話していきましょう。
価格が高くオーバースペック
まず、第一にWI-Fi6E対応ルーターは価格が高いということです。
今回発売されたルーターはすべてトライバンド対応ルーターとなっています。
逆に言えば、それ以外はとくに真新しい機能があるというわけではありません。
利用できる周波数が増えた分、価格が上がってしまったということですね。
それでは実際にそれぞれの価格を見ていきましょう。
ちなみに価格は公式ではオープン価格となっていたので、amazonで確認しています。
時期や場所によって販売価格が異なる場合がありますのでご了承ください。
まずはBUFFALOの「WNR-5400XE6」が22,980円
NECのWX-7800T8は25,278円です。
同じNECのWX11000T12に関しては12ストリーム、つまりはアンテナが12本あって、10GBbpsポートに対応していると高性能ではあるんですが、その分価格も54,978円と「50,000円」を超えてしまっています。
ここでひとつ思うのが、わざわざ高い金額を出してまで6GHz帯を使えるようにする必要があるのかな?ということです。
通信速度で言えば、今まで800Mbps出ていた人が1Gbps出るようになったとしてもそれを実感できる人はほとんどいないんじゃないでしょうか?
僕自身多くのお客様にWi-Fiルーターを案内してきましたが「トライバンドじゃないから通信速度が遅い」という方には今のところほとんど会ったことがありません。
「将来的に5GHz帯も混雑してくる」という可能性はありますが、現状では少なくとも2.4GHzと5GHzが使えればネットや動画を見るといったような日常使いで困るということはないと思います。
トライバンドをあきらめれば同性能のルーター安く購入できる
もし、このトライバンドをあきらめれば同じくらいの性能のルーターを5,000円〜10,000円くらい安く買うことが可能です。
例えばNECの7800T8でいえば、似たような性能のルーター「WX5400HP」が量販店で17,380円で売っているのを見かけました。
大体8,000円くらい安いですね。
他にも「とりあえずWi-Fi6が使えればいい」ということであれば10,000円を切るWi-Fiルーターっていうのも結構あります。
この金額差を考えるとやっぱり、今購入するなら従来のルーターで十分かなというのが個人的な結論です。
対応端末が少ない
もちろん、回線の品質をどこまで求めるかと言うのは人それぞれなので「Wi-Fi6Eを利用したい」「Wi-Fi6Eが必要だ」という方もいるとは思います。
ただ、「対応端末が少ない」
この2つ目の理由が結構致命的です。
現状、Wi-Fi6Eに対応している端末としてはPCだとMSIのPrestige14A11
スマホで言うとGoogleのPixel6シリーズ、他にはGalaxyのS21 UltraやASUSのROG Phoneなど本当にごく一部の端末のみとなっています。
もしかしたら日本国内では使えないから仕様に書いてないのかも。
iPhoneに関しては仕様を見てみましたが、最新のiPhone14でも現状ではWi-Fi6Eに関する記載は見当たりませんでした。
このように、ただでさえ対応端末は少ないのですがさらに問題があります。
もともと6GHzは日本では電波法により利用禁止とされていた周波数でした。
電波法が改正されて日本国内で6GHzが利用できるようになったのは2022年9月なので、この記事執筆時点では本当に最近ということになります。
それ以前に発売された機種についてはスペック上は対応していても、機能が切られていてWi-Fi6Eは利用できないという話も聞きます。
もしなにかの間違いで6GHzに繋がってしまったら、違法ということになってしまいますからね。
つまりは、現状(2022年9月現在)日本国内で実際にWi-Fi6Eを使えるデバイスは皆無ということですね。
ここらへんはアップデートで使えるようになる可能性もあるようですが、実際どうなるかはメーカーの発表待ちになります。
まとめ
ということで、今回はWi-Fi6Eと、対応ルーターに関するお話でした。
周波数が使えるようになったのが昨日の今日なので、端末の方が追いついておらずまだ実用的ではないというのが残念なところですね。
あとは6GHzという高い周波数の電波が、実際どのくらいの距離まで届くのかというのも気になるところです。
2023年くらいからは対応端末もどんどん発売されてくるとは思うので、そのときまでは様子見でいいんじゃないかなと思います。
ただ、Wi-Fiルーターは3年、5年と長く使うものですので、
- 今使っているルーターが壊れた
- 一人暮らしを始めた
など
もし、今このタイミングでWi-Fiルーターを買わなければいけないという場合は
先を見越してWi-Fi6E対応ルーターを購入しておくというのもありかもしれません。
今のところ5年前後の間隔で新しいWi-Fi規格が出ているので、日本でWi-Fi6Eが普及するころにはもしかしたらWi-Fi7が出ているかもしれませんね。
それも楽しみなところです。